夜。
リーザス村の宿屋にて。

「どうしてわざわざリーザスに来たんだ?」
ボフッとベットに腰を下ろして、相部屋の彼に問いかけた。

そうそう、何故俺とエイトが相部屋なのかというとだ。
此処は4部屋しかないから誰か2人が相部屋にならないといけないんだな。
トロデ王はあの通り傍若無人に1部屋占領。
ゼシカは女だし、ヤンガスは凄まじいイビキと寝相の悪さで論外。
よって俺とエイトは相部屋なのだ。

「だって値段安いんだもん。教会も村の入り口から近いし。」
そうでした。今はお金を貯めているんでした。
なんでも錬金釜に入れる為の材料を買うらしい。
そっか、と納得して仰向けに寝転がった。

「あのね………」

俺の寝ているベッドの横に立ち目をそらす。
「何?」
微笑んで言いにくさを緩和してやると、
エイトはほっとした顔でそのベッドの淵に座り口を開いた。
「夢の中で、いつもミーティア姫に会うんだ。」
言葉を失った…という表現は間違っているかもしれない。
だけど、そう。何も言えなかった。
どこか苦しいような感情が体の奥の方で渦巻いている。
「そっか。」
やっと出た言葉がコレだ。
茶化したり嫌味を吐いたり、いつもの俺なら何かあるだろう?
何を言えば良いかわからないなんて、馬鹿馬鹿しいにも程がある。
「信じてくれて良かった!笑われるかと思ったから…」
「好きなんだ?」
嬉しそうに笑うエイトに腹が立った。
「ミーティア姫の事、好きなんだって聞いてんの。」
その手をつかみ引き寄せる。
エイトはわっ、と一声上げ俺の上へと倒れこんだ。
「答えろって。」
自分の真上に居る愛しい存在を抱きしめる事さえ出来ずに、
ただひたすらその瞳を見つめた。

どうしてこんなに気になるんだろう。
そんなどうでも良い事が。
他の人が好きだって 他に付き合ってる人が居たって
その時甘い時間を過ごせさえすれば良い筈なのに。
何が自分を変えてしまったんだろう。

「……わからない。お慕い、している。」
そう言って離れようとする相手を益々強い力で掴み引き寄せる。
離れたくない、それだけの身勝手な理由で。
「俺、今めちゃくちゃ嫉妬してるぜ。笑えるよな。」
「そ…んな………」
「なぁエイト、寝ないで。」
無茶な事を言っているのはわかっているけれど。
「寝ないで。」
エイトを掴む手が微かに震えてしまっているのに気づき、
駄々っ子のような自分を少し恥じる。

いつか見たあの表情。強く真っ直ぐな瞳。
俺にはない何かを持っているコイツに、強く惹かれた。
心が熱くなる。制御がきかなくなる。いつもの自分じゃなくなる。

「どうして、俺ばっかに……」
ふいにエイトが呟く。
「どうして俺ばっかりに求めるの?
 ククールだっていっつも女の人と遊んでるくせに。」
寂しそうな口元に、不謹慎ながら思わず唇を合わせる。
触れるだけ、けれどもひたすら甘くて蕩けそうな、そんなキス。
「ごめんな、エイト。ごめん。」
ポスッと胸に顔を埋めてきたエイトをしっかり抱きしめた。


・・・・・・・・
(エイト目線)



「よーし、じゃあ一緒に寝るか!」
少し素直になってみるとすぐこれだ。
さっきのまま口に出さないならククールも格好良いのになあ。
こういうところが、可愛くてしょうがない。
「変な事したらついギガスラッシュしちゃうかもしれないけどね。」
そう言うと、相手は苦笑する。

もうすぐドルマゲスと戦うんだ。
皆と一緒なら、必ず倒せるだろう。
何故だかわからないがそんな気がするんだ。
…でも、心の奥が何かを叫んでいる。
その不安をかき消すかのように、目の前の男の体をぎゅっと抱きしめた。




END


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微妙に後書です。
読んでくれてる人は皆無だと思いますが説明的なもの。
うちのクク主は別に付き合ってるとかじゃないです。
キスとか一緒に寝るのとかは温かさを言葉無しに伝える為の手段に過ぎません。
主人公もククールも相手を意識し出した段階で、まだ仲間という感じが強いです。
ED後ミーティアと主人公のアレでククールさんが色々考えて
告白すれば良いんじゃないかと。
えとー告白と言っても「好きです付き合え」みたいんじゃなくて…
まだまとまっていません。何せまだチェロも倒してませんから。
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